毎日の生活の中で、自分の要求を相手に伝えなければならないことはよくあります。
子どもに部屋を片づけてほしい。
夫に皿を洗ってほしい。
でも、そういう希望をすっと伝えて、相手に動いてもらうのってけっこう難しかったりしますよね。
どういう言い方をすれば、自分も相手も気持ちよく、スムーズに要求が伝わるのでしょうか?
ムカつく言い方とムカつかない言い方の差とは?
同じ内容を伝えるときでも、言い方によって、相手の受け取る印象は違います。
ひとつ例を考えてみましょう。
あなたは共働きです。
仕事でバタバタしてしまって、帰りが遅くなりました。
子どもに声をかけながら、慌てて夕食の準備をしているときに、ちょうど帰ってきたダンナさまがポロっと言いました。
「ごはんまだ?」
ムカつきますよね。
私ならムカつきます。
たぶん、ダンナさまに悪気はないんです。
伝えたい内容は、仕事で疲れて帰ってきたから「早くごはんが食べたいな」それだけなんでしょう。
でも、自分の気持ちを素直に言うことが人の感情を逆撫でしてしまうこと、よくあるんですよね。
では、どう言われたらムカつかずに「この人と結婚してよかった♡」となるでしょうか?
「今日も仕事が忙しかったんだね。何かやることあるかな?」
「疲れてるのに食事の支度させてごめんね。子どもはぼくが面倒をみてるから」
こんな言葉、言われたことないけどね
こんなふうに言われたら、こちらも言葉を返しやすいのではないでしょうか。
この言葉がけのポイントは、ただ自分の希望を主張するのではなく、
相手への共感(仕事が忙しい・疲れている)+提案(自分がやれることを申し出る)
があること。
こうして逆の立場から考えると、見えてくるものがありますね。
自分の希望をスムーズに伝えるために
相手に何かをしてほしいとき、どういう言い方をしたら相手が言ったことをしてくれるだろう、と考えがちです。
でも、そういうときは相手と自分を入れ替えて、どういう言われ方をしたら言われたことをしようと思えるかな、と考えるほうがずっと効果的な言葉を考えられます。
これもワークをして体感すると、相手への声のかけ方を一息ついて考えるようになりますよ。
また、妻の側に立ってみると、こういうシチュエーションでやってしまいがちなのは、「自分がガマンしてやってしまえばいい」と黙って引き受けてしまうこと。
これ、本当に自分が納得してやるのならばいいのですが、そうでなければ自分の中の爆弾に火薬を詰め込んでいるだけです。
いつか相手に向かって大爆発するか、「どうせこの人は」「どうせ自分の人生なんて」と自分を傷つけるかなので、いいことはありません。
そういう意味でも、角を立てずに自分の希望を伝えるのは、大事なスキルだと言えます。
ELM 第3章は「言い方を工夫しよう」
ELM 第3章では、スムーズに自分の希望を伝えるものの言い方について学びます。
1つ目のポイントは、主張的・非主張的。
あまり一般的ではない言葉ですが、
主張的とは自分の希望をスムーズに伝えること、
非主張的とは、自分の気持ちを言えずにガマンしてしまうことです。
2つ目のポイントは、命令口調と依頼口調。
命令口調とは「〜しなさい」「〜しろ」「〜してちょうだい」といような言い方。
一歩進んで、皮肉っぽい「どうして〜するの」「いつになったら〜するの」というバリエーションもあります。
つい言ってしまいがちですが、上の立場からの言葉なので、言われた側はいい気持ちはしません。
依頼口調とは「〜してくれないかな。そうしたら助かるんだけど」「〜だから、〜してもらえないかな」というような言い方。
言い方がソフトで、相手にする・しないの選択権があるので、ムダに感情的にならずに済みます。
親が依頼口調を使っていると、子どももまねするようになるという効果も
相手がNOを言う余地を残す
このようなものの言い方に気を配ることは大切ですが、そこで肝心なのは、言い方を工夫したからといって、相手がこちらの要求をすんなり聞くとは限らないとあらかじめ覚悟しておくことです。
聞いてくれたらラッキー、でも、聞いてくれなくてもそれはそれでしかたない、そのくらいの心構えでいると、ストレスが少なくてすみます。
いくら依頼口調を使っても、相手に言うことを100%聞かせようとするならば、それは口調はソフトでも中身は命令口調と変わりありません。
依頼口調を使って、相手に「イヤだ」と言われたら、それはそれで相手の選択。
毎日の会話の中で、たとえ70%しかこちらの要求はかなわなかったとしても、そのやりとりそのものがノンストレスだと、家の中の空気は穏やか。
そもそも、毎日の生活なんて、70%で回っていけば十分ですよね。
まあ、日々の生活の中ではなかなか理想通りにはいかないこともありますが、だからこそおけいこ・おけいこ。
一緒におけいこをしていきませんか。