女子よりも番狂わせが起きたうえに残酷だった全米男子。
よりによってここでそれが起きますか!
◎ショート
一世一代の演技を見せたのはホクスタイン。
曲は「Your Song」。アメリカ選手がポップスを滑るといい味出すんだよな。
滑り出したときから「これは違う」と思わせるスケーティング。
身体のすみずみまで過不足なく力がゆきわたっていて、力むことなく技を決めていく。ジャンプを終えてからとても幸せそうに滑っていたのが印象的だった。
最後? かもしれない、オリンピックのかかった全米でこれだけの演技ができたらそりゃ幸せだよな。リンクから上がったときに、次のジェイソンのコーチまでもが笑顔で祝福していた。こんなの初めて見たよ!
ショートの順位は、1位 ネイサン、2位 アダム、3位 ジェイソン、とグランプリファイナルに出たメンバー。まったくもって「順当」だった。
◎フリー
ここで一世一代の演技をしたのはロス・マイナー!
曲はQueen。ロス・マイナーは、いつぞやのビリー・ジョエルのプログラムがよかったなぁ。このQueenもハマっていた。アメリカ人ポップスハマる説2人目。
一時期はNHK杯でいい演技を続けて日本のファンにも好印象だったのだけど、最近は「全盛期を過ぎたのか…」という印象だった。
それが、最後になるかもしれない全米でクワドを決めてこれだけの演技!
本当によかった!!
しかし、その後、アダムがクワドルッツの転倒は想定内とはいえ、最後のトリプルサルコウとトリプルルッツが1回転になるというまさかの凡ミス!
今シーズン好調だったのに、なぜよりによってこの全米で!?
ジェイソンも、クワドにトライするも転倒。アクセルも不調でコンビも入らない。
ジェイソンは、クワドは跳べなくてもスケーティングは上手でトリプルは安定しているというイメージがあったのだけど、今シーズンはジャンプが不安定。これは年齢的なものなのだろうか……
順位は、いくつかミスがあってもプログラム構成で圧倒するネイサンが1位。
2位がロス・マイナー。
3位は、去年の世界ジュニアチャンピオン、5本のクワドにチャレンジしてなんとかまとめたヴィンセント・ジョウ。冒頭の4ルッツ-3タノトウループは見事だった。
そしてオリンピック選考。
オリンピックには、ネイサンは順当として、ヴィンセントとアダムが選ばれた。
2位のロス・マイナーは、オリンピックも世界選手権からも漏れたという……
ロス・マイナーのコーチが「選考委員は最初からロスを選ぶ気はなかったんだろう。それならわざわざここに来る意味がないじゃないか」と言ったそうだけど、その通り……
いや、それでもあの魔法がかかったプログラムは忘れないよ。