3年ほど前に、母親が認知症で施設に入ることになり、それに伴って実家を売却しました。
ほぼ自分ひとりで片づけをしたのですが、初めてのことでいろいろと大変でした。
今から振り返ると、こうしておけばよかった〜ということが思い浮かびます。
実家の片づけの全体的な手順についてはこちら
ここでは、7つのステップのうち、1つめの実際に実家の片づけを始める前に確認しておきたいことについてまとめてみました。
実家の片づけに取りかかる前にしておきたいこと
さあ片づけるぞ〜となると、とりあえず目についたところのモノをゴミ袋に入れたり、まとめたりしたくなりますが、それはNG。
家1軒分のモノの片づけは大変です!
手当たり次第にやっていると、二度手間どころか何重手間にもなって、やってもやっても終わらないことになります。
片づけの前には準備と段取りが大切!
ノートを準備して、記録しておくのもいいと思います。
片づけの期間と基本的な方針について確認する
実家の片づけにかけられる時間はどのくらいでしょうか?
何人くらいが作業できるでしょうか?
持ち家か賃貸か、そのまま持ち続けるのか売却するのか、片づける人と実家の近さ、片づける人の忙しさなどによって違いがあると思います。
実家が遠く、時間も労力もかけられないとなると、ある程度のところで割り切って業者に依頼するという選択も出てくるでしょう。
逆に、持ち家でいくら時間がかかってもOK、思い出を味わいながらじっくり片づけていきたいという人もいるかもしれません。
このあたりがあいまいなまま作業に入ると、見通しのないまま片づけに押しつぶされることになってしまいます。
片づけにかけられる時間と作業人数、家の中にあるモノの量が、これからの片づけのベースになるので、しっかり確認しておきましょう。
片づけに対する気持ちの整理
片づけでいちばんやっかいなのはこの「気持ち」の部分です。
断捨離やこんまりさんの片づけがブームになって久しいですが、裏を返せば、モノを捨てるということはそれだけハードルが高いと言うことです。
ましてや場所は実家。
そこにあるのは、何十年分もの、家族メンバーそれぞれの思い出がまとわりついたモノばかりなのです。
ただのガラクタ、なんでもない空き缶やメモの切れ端、お土産物でも、「懐かしい」「あのときは○○だった」「もったいない」などという気持ちがあふれてきます。
しかし、ここで「懐かしい」「もったいない」側に立っているといつまでたっても片づけは終わりません。
時間に制限があるのならばなおさら。
実家をたたむことを前提とした片づけの場合、実際に行うのは「捨てるモノを選別する」のではなく、「残すモノを選ぶ」ことです。
そしてその「残すモノ」とは、あなたの家なり他の家族の家なりへ「移動」することとセットです。
目の前にあるモノは、わざわざ今住んでいる家に運んでまでも残しておきたいものでしょうか?
今の家に運んだとして、置き場所はありますか?
きちんと手入れをして、目をとめて手をかけて大切にできますか?
本当は、「迷ったモノは処分する」くらいでちょうどいいのだと思います。
迷いもなく受け入れられるものだけを残すようにできれば、片づけもスムーズになりますよ。
でも、それができれば苦労はしないんですよね。
片づけをスムーズに行うための判断基準
そこで、モノを処分することを後押ししてくれる考え方をいくつかご紹介します。
・このモノを残しておいたとしても、いつかは誰かが処分しなければならない
それは何十年後かのあなたかもしれないし、あなたが亡くなったあとのあなたの子どもかもしれません。
何十年後かに同じことで悩んで結局は捨てるのであれば、今捨てたほうが、あとの人に負担を残さないぶんいいのではないでしょうか。
・モノがいい「気」を放っているか? そのモノが自分の暮らしに加わることで、暮らしや自分の感情のプラスになるか?
・同じモノが今お店に並んでいたら、お金を払ってでも買うか?
・古びた現物を手もとに置いておくより、美しいまま思い出とするほうがいいのではないか?
実家のモノの中には、本当に懐かしいもの、思い出すと自分を励ましてくれるような他では替えのきかないものもあると思います。
そういうものはもちろん喜んで今の暮らしに迎え入れましょう。
ただ、そういうものも度が過ぎれば、今の暮らしを過去に侵食させてしまうことになりかねません。
厳選したモノをときおり眺めて勇気をもらう、そのくらいがちょうどいいのではないかと個人的には思います。
家族との気持ちのすり合わせ
家族や親族と片づけを行うときには、このような片づけに対する姿勢を共有しておくことが大切です。
でも、これが難しいんですよね……
家族というのはいちばん感情がストレートに出てしまう関係です。
ましてやそこに思い出や「もったいない」がからむとなると、一歩間違うと修羅場になりかねません。
ただでさえ物理的に大変な実家の片づけに、感情的な大変さを加えるのは避けたいもの。
これまで説明したような「今、処分したほうがいい理由」を伝えても相手が納得できないようであれば、そこからは相手の領域なので、こちらが踏み込むことではありません。
ただ、その際には、相手に責任を取って引き取ってもらうようにしましょう。
もし「もったいないから捨てるのはイヤだけれど、うちには置くスペースがないからあなたのところで引き取って」などと言われたら、争いに労力を使うよりも引き取る。そして、引き取ったモノは自分のモノなので、黙って処分しちゃましょう。
だって要するに相手にとって不要物なのですから。「あれどうした?」なんてきかれることはまずありません。
「売る」という選択肢
モノの処分には、「捨てる」以外に「売る」という選択肢もあります。
そして、「売る」にも2種類あります。
リサイクルショップに売ることと、フリマアプリなどで売ることです。
リサイクルショップ
リサイクルショップでは、実際にはほとんど満足できるような値はつきません。
こちらは「売ることによって利益を得る」のではなく、
「不要物を良心の呵責なく引き取ってもらって、お茶代くらいがもらえらばラッキー」
というスタンスで利用すべきものだと思います。
フリマアプリ
対して、フリマアプリを使うと、そこそこの値段で売れることもよくあります。
実家の中には、メルカリに出せば値のつくものもいろいろとあるでしょう。
リサイクルショップでは、買い取った値段に利益をのせてお客さんに売るわけですが、その値段で直接売れるので、利益の幅は大きいですよね。
ふだんからメルカリで売買しているという人も多いのではないでしょうか。
ただ、フリマアプリには、売れるときをコントロールできない、荷造りや発送などの手間がかかる、というデメリットがあります。
小物を自宅に持ち帰って売るか、実家との距離が近く、売れたらすぐに発送作業ができる、という状況でない限りは、ちょっと難しいように感じます。
ただでさえストレスの多い実家の片づけの最中に、フリマアプリの手間を加えることについては、それぞれの状況に応じて判断してください。
「こうしたほうが高く売れるかも」ではなく、「処分する際にかかる費用」と比べる
現在は、モノを捨てるにもお金がかかる時代です。
特に、実家の片づけのようなモノを大量に処分しなければならない場合には、処分する際にかかる費用と比べて、それが少しでも安くなればOKというスタンスで臨むのが実際的だと思います。
ひとつひとつのモノを前に、「これはどうすれば高く売れるか」といちいち考えること自体が時間と判断力のコストになるからです。
モノの処分方法
モノの処分方法には、次の2つがあります。
・売る
日々の暮らしの中で当たり前にしている「ゴミをゴミ捨て場に出す」。
これは、実際に住んでいない場所で行おうとすると、なかなかハードルが高い行為です。
朝の早い時間に、決められた場所に、決められたルールに従ってゴミを出すのは、近くに住んでいなければ難しいのです。
ゴミ収集所のスペースも限られているので、あまり一度にたくさんのゴミ袋を出すのははばかられたりもします。
私は、最寄りのゴミ収集所がいっぱいになったので、隣のエリアの収集所に捨てようとしたところ、近所の人に注意されました……
実家の片づけにおいては、この地域のゴミ収集に出すモノをできるだけ少なくするのがポイントです。時間に縛られるゴミが減ると、それだけゴミの処理が楽になります。
・粗大ゴミや資源ゴミなどが持ち込める場所
・金属ゴミなどの引き取りをしている業者
・スーパーなどの店頭で行っているペットボトル、乾電池、電球などの引き取り
・本や衣類などの買取サービス・リサイクルショップ
実家のある地域のゴミ収集について確認するのはもちろんですが、このようなサービスで利用できるものがないか、事前に調べておきましょう。
広島市についてはこちらにまとめました
まとめ
仕事と同じように、何事も段取りが大切です。
実際の作業に取りかかる前に、準備できることはしっかり準備しておきましょう。
「実家の片づけ」と言っても、それぞれの家によって状況は違います。
作業が少しでもラクになるために、ここで紹介したことが参考になればうれしく思います。
ステップ2はこちら
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