2020年7月24日、この日は本来ならば東京オリンピックの開会式でした。
コロナがなければ、どれだけ晴れやかな空気に日本中が包まれていたことでしょうか。
冬季オリンピックオタクから見た東京オリンピック
私は、1984年のサラエボオリンピック以来の極端な冬季オリンピックオタクです。
冬季オリンピックなら、開催年・開催国・フィギュアの金メダリストからNHKのオリンピックテーマソングまで全部あげることができます。
冬のオリンピックに全精力を注ぐために、あえて夏のオリンピックについては自分の中のスイッチを切っています。
おかげで、夏についてはアテネとロンドンとリオの区別もつかないありさまです。
なので、東京オリンピックについてもそんなに思い入れはありませんでした。
娘が卓球をやっているので、卓球のチケットにいちおう申し込みましたが、もちろんアウト。でもとくにショックもなく。
「夏季」とつくことのない「オリンピック」に比べると、どうしたってマイナーな「冬季オリンピック」オタクとしては、長野に比べて、招致の「お・も・て・な・し」から始めて東京のほうがずっとフューチャーされていることがなんとなくおもしろくない、というちょっとひねくれた思いもありました。
(巨人に対するカープファンみたいなものですね。どこまでアウトサイダー気質なんだ、わたし……)
しかし、今、世間に流れている「来年に延期したところで、コロナでオリンピック開催は無理なんだから、さっさとやめちゃえばいいのに」という空気、オリンピックを中止にするのがもののわかった大人の正しい判断、という風潮には違和感しか感じません。
東京オリンピックを失うことは、日本人みんなが手にすることのできた豊かな宝物を失うことなのに。
NAGANO1998
さかのぼって1998年、長野オリンピック。
あのときも、世間は盛り上がっていませんでしたが、私はひとりで盛り上がっていました。
毎日長野オリンピックホームベージをチェックし、スキージャンプと閉会式のチケットを無事ゲット。
長野市内での宿泊は無理だったので、東京と松本に宿を確保し、交通機関を手配し……
そして迎えた開会式。
劇団四季の浅利慶太氏が総合演出、和風のコスチュームをまとったみどりちゃんが聖火を灯しました。
スタジアムに持ってこられた長野の伝統行事である御柱建ての迫力は、テレビ越しにはいまひとつ伝わらず、アメリカのゴールデンタイムに合わせて昼間に開催された開会式は、なんとなく間延びして盛り上がりに欠けていました。
しかし、2日目。
スピードスケート500mの清水宏保と、モーグルの里谷多英の金メダルで空気は一変。
日本中にオリンピックムードが広がりました。
そして、スキージャンプ団体。
1回目、原田雅彦の失敗ジャンプから、岡部孝信、斎藤浩哉、ラストの船木和喜が大ジャンプをつないで、つないでの大逆転金メダルには日本中が湧きました。
1998年を生きた人なら、多かれ少なかれ思い出に残っているのではないでしょうか。
自国開催のオリンピックはやっぱり特別
もし東京オリンピックが開催されたら……
NAGANOのジャンプ団体金メダルと同じような、いえ、きっとそれ以上にみんなの心を震わせ、ずっと語り継がれるような、素晴らしい瞬間がたくさんあるはずです。
自国開催のオリンピックには、やはり特別な魔法があるのです。
長野オリンピックを現地で経験したからわかります。
あのとき、長野の街には世界中から人が集まり、お祭りムードがあふれていました。
残念なことに、私が観戦したジャンプの試合は、結果的には船木の銀メダルが最高といういちばん地味なノーマルヒルでしたが、それでも船木の美しい弧を描いた飛行、青い空と白い雪がキラキラ輝いていたあの日の白馬の美しさは忘れません。
そして閉会式!!
オリンピックにおける閉会式の素晴らしさを語るとまた長くなるので、ここでは語りませんが、本当に楽しかった!
幻の東京オリンピック開会式
あれ、東京オリンピックについて書くつもりが、NAGANOネタが長くなりました(汗)
もし、今日、東京オリンピックの開会式が行われていたとしたら、どんな演出だったのだろう?
どんな音楽が流れ、選手はどんなふうに入場行進してきたのだろう?
誰が、どんなふうに、聖火台に聖火を灯したのだろう?
開会式を準備してきた人たちのきらめく才能と労力とそこにかけた思い。
オリンピックを支えるスタッフやボランティアの方の思い。
そして、何より、誰より、オリンピックのために人生を捧げて己を磨き、準備してきたアスリートたちの思い。
そのような思いが結晶するはずだった場所が失われてしまったことが残念でなりません。
今日、日本は全国的に雨ですが、これはきっと涙雨。
もし、コロナがなくてオリンピックが無事開催されていたとしたら、きっと晴れていたはずです。(暑そう)
オリンピックは開催の方向にベクトルを
そもそもオリンピックとは、アスリートたちが世界一をかけて戦う場です。
だから、無観客でもいい。
たとえ一部参加できない国があったとしてもいい。
(西側諸国が参加ボイコットしたモスクワオリンピックという前例があります。あ、平昌でも、ドーピング問題で、ロシアは基本参加禁止でした)
コロナ対策を最大限行いながら、オリンピックをできるだけ開催する方向で、アスリートたちの憧れの場所を護る方向で、進んでいってほしいと個人的には思います。
そして、もし、オリンピックが中止になるならば……
それは、厄介払いできた、大人の正しい判断だ、というのではなく、オリンピックにすべてをかけてきたアスリート(そしてオリンピックの準備に携わった人々)の気持ちによりそい、失われたもののかけがえのなさを痛切に共に感じる、そういうことを忘れないでいてほしいと思います。
あ、私は2020東京ではなく、2030札幌にすでに心はロックオンなんですけどね。