オリンピックをかけた全米選手権。
全日本も盛り上がったけれど、冷静に振り返ると真にオリンピックがかかっていたのは女子の2枠目だけで、あとは順当なところに落ち着いた。
しかし、さすが全米選手権。女子も男子もドラマがいっぱいだった。
アメリカでも女子は意地と意地のぶつかり合いでドラマチック。
上位の選手は少々のミスはあってももちこたえてあきらめない。
フリーもみんな渾身の演技で、終わったときにはガッツポーズの連続。
そんな中でもミスの大小が順位をつけた、そんな印象でした。
スケートアメリカから好調な新星、ブレイディ・テネルがショート、フリーともいい演技で文句なしの1位。
フリーの「シンデレラ」は昨シーズンの三原舞依ちゃんを思い出す。
そして、ナショナルでの躍進は全日本の坂本さんと重なる感じ。
まだ荒削りだけれど、ジャンプの安定性がピカイチだった。
2位は未来ちゃん!!!
トリプルアクセルは試合ではなかなか着氷がクリーンに決まらない。でも、今回もちゃんと回転して転倒せずに降りたのでちゃんと得点源になっている。
20歳過ぎてからトリプルアクセルにチャレンジして身につけて、この大舞台で決めるなんて本当にすごい!
未来ちゃんはベテランのわりにエッジワークがたどたどしいのが残念なんだけど、上半身の使い方とジャンプの勢いでとてもよい「ミス・サイゴン」だった。
本当におめでとう、未来ちゃん!!!
3位は、不調だったグランプリシリーズから立て直し、フリーをまとめて、去年の全米女王、カレン・チェン。
そして、アシュリーは4位。
シーズンの途中でプログラムを変更して、全米ぶっつけ本番となった “La La Land”。
La La Land =黄色の衣装、というイメージだけれど、アシュリーは淡いピンクの衣装をまとい、滑り始める。
このプログラムは、”Audition (The Fools Who Dream)” をメインに据えた音楽の構成が秀逸。メインテーマである “Another Day Of Sun” で一瞬舞い上がるけれど、あくまでもしっとりと、人生の機微ややるせなさ、そして素晴らしさを伝える。
それがベテラン、アシュリーのスケート人生とも重なって泣けた。
変更したばかりでプログラムがこなれていないとはいえ、アシュリーのPCSが抑えられるという不条理と期せずしてプログラムの味わいが重なった。
そう、”La La Land” という映画も、女優となる夢を叶えたサクセスストーリーではなく、「ありえたかもしれないもう一つの人生」を思い浮かべるラストにみんな心を奪われたのだった。(だからアカデミー賞を獲れなかったのかも)
オリンピックには上位3人が選ばれ、アシュリーが落選……
でも、そもそもグレイシーが摂食障害のため出ていないんだった……
そもそも昨シーズン、ワールドで頑張って枠を取ってきたのはカレン・チェンだしなぁ……
アシュリーには四大陸で、ミスのない完成形の “La La Land” を見せてほしい。
楽しみにしています!